大分県大分市生まれ。石油会社で働く会社員の父と専業主婦の母の下で育つ。物心付いた頃から、発明家のトーマス・エジソンに夢中になり、自身の発明のアイデアを書きとめた「発明ノート」を作成。毎⽇、ひらめいたことを書き付け、その中には⼈間の動きに合わせて向きを変えるスピーカーなど、後年、製品化されたアイデアもあった。理科が好きでさまざまな動物や昆虫を飼っていたほか、化学の実験にも興味があり、地元新聞社の「子ども記者」という企画で記事を書き、もらった謝礼で試験管やビーカー、薬品を購入。アイデアを思いついては実験をしていた。
母方の祖父は別府市内で複数の事業をしていた実業家で、ジーンズ店やスポーツ用品店、夏には海岸で海の家を営業していた。幼少の頃から商談の現場やお店に行き、ビジネスの面白さを学ぶ。
中学生の頃はアマチュア無線に夢中になり、「電話級」(現‧第四級アマチュア無線技⼠)、「電信級」(現‧第三級アマチュア無線技⼠)の両資格を取得。愛読書は⽉刊誌『ラジオ技術』で、当時は携帯電話がなかったため自作の無線機で世界中の人々と交信を楽しんでいた。
高校は大分県立大分雄城台高校に進学。高校時代に祖父が脳梗塞で倒れ、そのことをテーマに「投げたらアカン」という題で校内の弁論⼤会に出場し優勝、県大会に進んだ。数学も得意だったことから、数学オリンピックにも出場。卒業後の進路には国立大学を狙っていたが、現役では合格できず浪人。5教科7科目の勉強をしていたが私立大学も受験し、一番得意だった数学の試験がある慶應義塾大学を受けて合格。商学部でビジネスの世界に進もうと決心した。
慶應義塾大学在学中は起業の資金作りのためアルバイトに明け暮れる。時給の良い塾の講師や家庭教師を主に、時間を見つけては結婚式場や不動産会社、中華料理店で働いた。貯めた貯金を増やそうと株式投資を始めるが、損をするばかりで、自身の勉強不足と痛感し財務会計ゼミに入る。怪しい投資顧問会社の「30万円現⾦を⽤意したら絶対に値上がりする銘柄を教える」という誘いに引っかかり、買った直後に⼤暴落するといった⽬にも遭うことも。なかなか思うように成功せず、アルバイトで貯めたお⾦は何回もゼロ‧リセットし悔しい思いをする。そのような体験から、プロフェッショナルになって見返そうとファンド‧マネージャーか株のディーラーになろうと決心。サークルは「福利厚⽣機関の国際関係会(I.I.R.)」に所属。交換留学生を受け入れ、国際交流の機会を提供するサークルで、自身もフィンランドのヘルシンキ経済大学へ留学している
3月、慶應義塾大学商学部を卒業。同年4月、株好きが高じて当時まだ珍しかった目的別採用を実施していた「伊藤忠商事株式会社」に入社。金融機関に就職しても、ディーラーなどを任せられるのは下積み後で何年もかかると感じたため、目的別採用で為替証券部に配属されることになっていた「伊藤忠商事」に入社を決めた。入社後は指数先物、為替先物など資金を任され運用を行う。組織とは別に、個⼈として10億円のポジションを任され、東京市場の株式の先物とオプション、債券や為替のディーリングを⾏い、閉まるとロンドン市場、その後はニューヨーク市場へ場を変え、休むことなく活動した。基本的には高パフォーマンスを発揮したが、1億円の損失を出し始末書を書くことも。
8月、「伊藤忠商事」が設立した「日本オンライン証券株式会社(現・auカブコム証券株式会社)」の設立に立上げから関わる。当時、日本ではインターネットオークションのサービスが開始。興味を持った河野は、自身でもヤフーオークションで、フリーマーケットで仕入れたグッズを販売するなど、この頃からITの潜在的可能性を認識するとともに「物流と決済」の重要性を感じる。こういったネット上の売買はますます活発になるだろうと予測し、新しいビジネスの可能性を模索。同時にその頃、ネット銀⾏の設⽴を計画していた直属の上司の誘いに乗ることになり、「伊藤忠商事」を退職することを決意。
「伊藤忠商事」を退職後、「イーバンク銀行株式会社(現・楽天銀行株式会社)」で取締役営業本部長などを歴任。ここから約4年間、資金集めや金融庁との交渉、法人・個人への営業、コールセンターの管理、マーケティングなど幅広い業務に従事。名だたる企業の経営者と知り合うことにもなり、これが河野の起業家としてのスタートに大きな影響を及ぼすことになる。そして、2つの企業の立ち上げを経験したことで、次は自ら事業を起こそうと独立を決意。当時、急速に成長していたインターネットと金融に精通していたが、同時にITバブルで実態を伴わないビジネスも多くみてきたが故に、「地に足の着いたリアルなビジネスをやりたい」という思いが強くなっていく。
「イーバンク銀行」を退職後、同年8月に港区浜松町にて「株式会社ティーケーピー」を設立。
それまでの⾦融‧証券全般の知識や経営企画⽴案、資⾦集め、営業⽀援といった経験を⽣かし、IPOを⽬指す経営者のコンサルタントになるのが⾃然な道と思い開業したが、やはり⾃分で実業を⼿がけたいと漠然と思いはじめる。そこで目を留めたのが不動産の有効活用だった。調査を進めていく中で、東京・港区六本木にあった取り壊しの決まった3階建てのビルの情報を聞きつける。現在の六本木ミッドタウン近くにそのビルはあり、1階のレストランは営業していたが、2階と3階は空いていた。空きスペースを格安で賃借することに成功し、1フロアはそのビルの隣で工事していた建設会社の工事現場事務所として貸し出し、もう1フロアは会議室として貸し出すことを思い付く。部屋に長テーブルとイスを置き、「1人あたり1時間100円」というキャッチコピーで、第一号店「TKP六本木会議室」をスタート。これを皮切りに貸会議室を都内に拡大。ポータルサイト「TKP貸会議室ネット」「貸オフィスネット」を立ち上げ、インターネットで集客を行い、小さく生んで大きく育てたポータルサイト作りから、予約受付、当日の鍵開け、食事の準備、掃除に至るまで、全て自身で行う。初月に50万円だった売上は初年度2億円、2006年度には7億円、その翌年には20億円と雪だるま式に大きくなっていく。
本社を新宿区市ヶ谷に移転。
⼤正12年創業の⽼舗弁当である「株式会社常盤軒」の仕出し弁当製造部⾨を譲受して「株式会社常盤軒フーズ」を設立、料飲サービスの内製化を強化。さらに「TKPホテル&リゾート」ブランドを立ち上げ、箱根・熱海・軽井沢に郊外型セミナーホテル「レクトーレ」をオープンし宿泊型研修会場の提供を開始したほか、海外初施設を米国・ニューヨークに出店。
3月、ティーケーピーを東証マザーズに上場させる。
8月、2冊目となる著書『起業家の経営革命ノート―TKP式成長メソッドの秘密』を出版。9月にはイベント運営事業を⾏う「株式会社メジャース(現・株式会社イチガヤ)」を⼦会社化し、11⽉、「株式会社⼤塚家具(現・株式会社ヤマダデンキ)」と業務‧資本提携を締結。翌年、⼤塚家具新宿ショールームの9階にイベントホール「CIRQ」、⼤塚家具仙台ショールーム7‧8階に「TKPガーデンシティPREMIUM仙台⻄⼝」をオープン。
2月、「豊の国かぼす特命大使」に就任。
4月、レンタルオフィス最大手・日本リージャスの買収を発表、5月に「日本リージャスホールディングス株式会社」を完全子会社化。シェアオフィス事業に本格参入。同時に「IWG plc」の⽇本における独占的パートナーとして、国内での⻑期独占契約を締結。9⽉には台湾リージャスも⼦会社化。(2023年2月売却)
6月、⼤分のサッカーチーム「⼤分トリニータ」を運営する「株式会社大分フットボールクラブ」とティーケーピーが資本業務提携を開始。ティーケーピーは筆頭株主となり、河野は社外取締役に就任。スポーツ振興を通じて、持続的に地域社会と密着した社会活動に貢献したいとの思いから締結に⾄る。同年7月、「有限会社品川配ぜん人紹介所」を子会社化し、ホテル宴会場運営支援事業へ参入。
6月、コロナ禍の貸会議室需要減少で苦しむ中、菅義偉(当時の内閣総理大臣)と面会し、ティーケーピーが運営する全国の貸会議室を新型コロナウイルス感染症の職域ワクチン接種会場として無償提供することを決定。合計150万回のワクチン接種に貢献。同月、「エスクリ」社外取締役に就任。
現在、全国約230拠点の貸会議室施設の運営のほか、
周辺事業の拡充に取り組み、約1,500人の従業員のトップとして活躍する。
2007年 | 「EY Entrepreneur Of The Year Japan 2007」スタートアップ部門 受賞 |
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2010年 | 「EY Entrepreneur Of The Year Japan 2010」アクセラレーティング部門 セミファイナリスト |
2011年 | 週刊ダイヤモンド「2011年度経営大賞(Frontier of the year2011)」受賞 |
2012年 | 「2012アパコーポレート大賞」受賞 |
2013年 | 「中小機構 Japan Venture Awards 2013」特別賞 受賞 |
2014年 | 中小企業IT経営力大賞2014「IT経営実践認定企業」認定 |
2015年 | 「就活AWARD2015 ~就職すべき働きがいのある成長企業~」受賞 |
2017年 | 株式会社ダイヤモンド/ダイヤモンド経営者倶楽部「IPO賞」受賞 一般社団法人アジア経営者連合会「優秀経営者賞」受賞 日経CNBC「第1回 今年の優秀IPO企業」最優秀賞 受賞 「EY Entrepreneur Of The Year 2017Japan」(アクセラレーティング部門) 大賞 受賞 日本代表に選出(現在は日本代表選考委員) |
2018年 | 「2018アパコーポレート大賞」受賞 「EY World Entrepreneur Of The Year 2018」世界大会出場 第44回経済界大賞 優秀経営者賞 受賞 |
2019年 | 日本証券アナリスト協会「ディスクロージャー優良企業 新興市場銘柄」受賞 |